私が農園にまで足を運べば、今は果汁を酒の原料として使うために大樽に入れて、出荷の準備で大忙しな様子だった。
「……忙しいみたいね。こちらのサンプルを持って帰るわ」
「レニエラ様! お相手出来ず、すみません。ここ一週間ほどのことですので」
私は謝るカルムに、首を横に振った。
「気にしなくて良いわ。私が勝手に来ただけだもの。私の事業が上手くいけば、カルムたちにも良い暮らしをさせてあげられるわ。上手くいくように、祈ってて!」
彼ら一家をドラジェ伯爵家から引き抜いたのは、この私だ。事業家になるのなら、誰かの一生を背負うことになる。
私は一度覚悟を決めたのだから、ジョサイアのように頼りになる夫の後ろ盾を得られたことを良いように考えて、前に進まなければ。
「僕は事業が成功すると良いとは思っています! 僕たちが良い暮らしも出来ることもそうですが、レニエラ様がご自身への自信を取り戻せれば良いと思います」
「……ありがとう」
そうだ。ショーンにあんな風に婚約破棄されてから、落ち込んでしまった私は自分に何度も何度も言い聞かせねばならなかった。
「……忙しいみたいね。こちらのサンプルを持って帰るわ」
「レニエラ様! お相手出来ず、すみません。ここ一週間ほどのことですので」
私は謝るカルムに、首を横に振った。
「気にしなくて良いわ。私が勝手に来ただけだもの。私の事業が上手くいけば、カルムたちにも良い暮らしをさせてあげられるわ。上手くいくように、祈ってて!」
彼ら一家をドラジェ伯爵家から引き抜いたのは、この私だ。事業家になるのなら、誰かの一生を背負うことになる。
私は一度覚悟を決めたのだから、ジョサイアのように頼りになる夫の後ろ盾を得られたことを良いように考えて、前に進まなければ。
「僕は事業が成功すると良いとは思っています! 僕たちが良い暮らしも出来ることもそうですが、レニエラ様がご自身への自信を取り戻せれば良いと思います」
「……ありがとう」
そうだ。ショーンにあんな風に婚約破棄されてから、落ち込んでしまった私は自分に何度も何度も言い聞かせねばならなかった。



