そう言って、ジョサイアは私のことを抱きしめた。私も遠慮がちにだけど、彼の背中に手を伸ばして抱き返せば、耳元で掠れた声が聞こえた。

「良かった……本当に嬉しいです」

 顔合わせをした当初からジョサイアは私になんて、もったいないくらいの人だと思っていた。だって、あまりに揃い過ぎていて、パッと話を聞けば胡散くさい話だと思ってしまうくらいだもの。

 強がってしまうのも、仕方ないとは思う。ただの言い訳だけど。

 また、いつ捨てられるか怯えるよりも、自分の方が先に諦めて仕舞えば……その方が楽だもの。

 けど、ジョサイアは私が良いと思って求婚してくれたと知った。結婚式はひと月前だけど、やっと私たちは夫婦の道を歩み出したのだ。

 ちょうどその時、扉を叩く音がして私たちは慌てて離れた。

「入ってきても良い……なんだ?」

「旦那様、城からの呼び出しです」

 城からの呼び出しであれば、恐らく陛下だろう。一度帰ったはずの彼を呼び出すなんて、何かとんでもないことがあったのかもしれない。