と、言っていたということは、もしかして、彼女の前でもこんな感じだったのかしら?

 皆の前でも常に感じよく親切なんだろうと思っていた夫の意外な一面を見て、私は妙に落ち着かない気持ちになった。

 私も事業をしようと考えるにあたって、仕事上で取引相手に舐められないと思うことは重要だと思う。しかも、ジョサイアは王の側近で宰相補佐なのよ。

 そんな人が甘くて親切で、なんでも言うとおりになんて、そんなはずはないわ。

「そう思います……姉のことに、より一層気を付けて頂けたらと思います」

 アメデオは緊張した様子でそう言って、ジョサイアは感情を抑えた様子で何度か頷いた。

「……アメデオくんが、心配することはない。僕もようやく仕事が落ち着いたので、新婚の妻へ時間が使えそうだ。ショーン・ディレイニーについては、何の心配しなくても良い。何もしなくても自滅しそうな男だが、僕も何個か手を打つようにしよう」

「ありがとうございます!」

 アメデオはようやくほっと安心した顔になって、私へと視線を向けた。

「アメデオ。姉が大好きなのが、漏れ出ているわよ」