「ただ、それをわかりつつの話に出してきたような気がするし、金銭で済ませられるとしたら、そうしたい。話が広がれば広がるほどに尾ひれがついてややこしくなり、誰もが好き勝手に面白おかしく言い立てる……責任のない大衆は、事実とは反する話でも、それが面白けれそれで良いんだ。僕とオフィーリアの件で、既に実証済だ。レニエラは巻き込めない」

 前にアメデオの言った通り、ジョサイアはやはり自分とオフィーリア様についての情報をすべて知っているのだわ。

 知っている上で、特に否定することもなく、何も言わずに黙っている。

「モーベット侯爵……いえ。義兄さん。僕は姉さんと義兄さんが結婚した当初から、貴方と相談したかったことがあります。ショーンは好きな女性を虐めて泣かせてしまうのが楽しいという、異常性癖の持ち主でして……同じ男の僕からすると、本当に見るに耐えないことを何度も姉にしていました」

 静かにアメデオが話を切り出すと、ジョサイアはため息をついて彼であるかを疑ってしまうような、非常に冷たい声で言った。

「続けて」