「そう……通常ならば、婚約してから公示期間を経てからの結婚になるけど、姉さんとジョサイア義兄さんの結婚は特別だった……色々な意味で」

 アメデオの言う通り、私たちの結婚が決まったのは、結婚式前の二週間前。

 それに、知っているはずのディレイニー侯爵家なんて呼ぶはずがないから、結婚式が終わってから知ったことになるわ。

「……そうよね。他の人と婚約しているしていないなんて、確認しないわ。普通なら。だって、婚約してから結婚するのが普通だもの」

「そうだろう? 僕たちと同様に、貴族院の事務員たちだって、そう思っていた可能性が高いよ。まさか、婚約を破棄する手続きをディレイニー侯爵家が怠っているなんて、誰が思ったりするんだ?」

 アメデオは苛々した様子でそう言ったけど、それを聞いた私も思わず頭を抱えたい気分になった。

「……お父様は、なんて言っていたの?」

 そういえば、何故私の元へアメデオがやって来たのかを聞いていない。この話であれば、当主のお父様がジョサイアと話をつけに来るべきだと思うのに。