「ありがとう……私のこと、好きになってくれて……」

 ハンカチで私の涙を丁寧に拭き取ると、ジョサイアは苦笑して言った。

「それは、別にお礼を言うことでもないです。勝手に僕が好きになっただけですから……あの時も、こうして慰めて涙を拭ってあげたかった。好きな人に冷たくされて泣きそうになった、名前も知らない女の子の涙を」

 遠い過去の日を思い出すように、ジョサイアは目を細めた。