貴方には好きな人と幸せになって欲しいと、そう言った私に。

「ジョサイア……私。貴方を好きになることが、怖かったの。誰かを好きになっても、好きになって貰えなければ、辛いだけだもの。だから、私……」

 だから、先回りして、私に好意的な言葉を使いそうなジョサイアから、逃げていた。

 ……だって、もう絶対に、傷つきたくなかったから。

「彼のことが、本当は、好きだったんですね」

 ジョサイアに何度目か……また、それを確認するように言われ、私はその時に、やっと好きだったんだと、自分でも認めることが出来た。

 静かに頷いた私の目から、涙がこぼれて止まらなかった。

 あの人のことが、好きだった。だから、いつも辛かったし、嫌だった。

 好きだったから、髪を引っ張られるのも、お気に入りのドレスを貶されるのも、嫌だった。出来たら優しくして、褒めて欲しかった。けど、そうしては貰えなくて、いつも泣きそうになって……。

「……そうです。私はあの人のことが、好きで……だから、あんな風にひどい状態で婚約破棄をされて、すごく傷ついて。仕事を持って、一人で生きて行こうと決めました」