けれど、貴族の結婚は大抵の場合、お互いの家同士の条件に合う両親の政治的な思惑溢れる政略結婚が常だ。出会った求婚者と恋愛結婚する時にだって、必ず家長の許しを得なければならない。
お互いの両親が、とてもとてもこの結婚に乗り気だと言う時点で、もう私たちの結婚は決まったも同然だった。
「突然の縁談をお受けくださり、ありがとうございます。レニエラ嬢。僕の仕事の都合で大事な初顔合わせが、このような場所になり、本当に申し訳ありません」
現在寝る間もないほど多忙だと聞いているモーベット侯爵は、とてもそうとは見えない涼しげな表情で、礼儀正しく私の手を取り、秋薔薇が咲き誇る薔薇園へとエスコートしてくれた。
機を見るに敏な叔母アストリッドは「お若い二人で、話を深める方が良いわね」と、別れの挨拶もそこそこに颯爽と立ち去っていった。
彼女のこういう機転の利く素早い対応は、おっとりした気質の私の母とは違い、その頃一番人気だったと言うヘイズ公爵を捕まえただけのことはあると思う。
お互いの両親が、とてもとてもこの結婚に乗り気だと言う時点で、もう私たちの結婚は決まったも同然だった。
「突然の縁談をお受けくださり、ありがとうございます。レニエラ嬢。僕の仕事の都合で大事な初顔合わせが、このような場所になり、本当に申し訳ありません」
現在寝る間もないほど多忙だと聞いているモーベット侯爵は、とてもそうとは見えない涼しげな表情で、礼儀正しく私の手を取り、秋薔薇が咲き誇る薔薇園へとエスコートしてくれた。
機を見るに敏な叔母アストリッドは「お若い二人で、話を深める方が良いわね」と、別れの挨拶もそこそこに颯爽と立ち去っていった。
彼女のこういう機転の利く素早い対応は、おっとりした気質の私の母とは違い、その頃一番人気だったと言うヘイズ公爵を捕まえただけのことはあると思う。



