「あら……何を言っているの。たった一人の男に失礼な態度を取られたからと、だから何よ。婚約破棄を言い出した婚約者の顔にホールケーキをぶつけた話を聞いた時は、私もやってやったわね! と、楽しく思ったわ」

「あ……ありがとうございます……」

 それは……知っているわよね。大騒ぎになったらしいもの。

「ジョサイアは貴女には、優しいと思うわ。ちゃんと話したら、理解しようとしてくれると思う。せっかく二人は結婚したんだから、そうするべきだと思うわ」

 オフィーリア様は苛烈な性質の持ち主のようだけど、私には優しく諭すように言ってくれた。

 元婚約者の想い人が私だとしたなら、嫌な印象を抱いていてもおかしくないのに、胸の大きさだけを先に言ったということは、それ以外は気にしてないってことを暗に伝えたかったのだと思う。

「けど、私たち……契約結婚なんです。一年後に離婚しようって言っていて……」

「え? ……どういうことなの?」

 これは彼女には言っておかなくてはと私が言えば、オフィーリア様はとても驚いた表情になった。