「ふふ。ありがとう……けど、別にレニエラ様にここで自信過剰だの、なんと思われようが、どうでも良いわ。だって、自分がどれだけの価値を持っているかを決めるのは、他の誰かでもなくて……私、ただ一人だけだもの」

「すごく……素敵です。私は、婚約破棄されてから……自分の価値がなくなったと思いました。だから、自分で仕事を持って、一人で生きて行こうと」

 オフィーリア様は強くて、自分の芯を持っている。自分の価値は自分で決めると言った通り、もはや、社交界で下される評価なんか、どうでも良いのだと思う。

 私はそれを失ってそれこそどん底まで絶望したというのに、彼女はだからそれが何? と軽く笑い飛ばして、好きな人生を生きようとしている。

 それに、私はオフィーリア様という人と、これまでにちゃんと話したこともなかった。それなのに、誰かから話を聞いただけで……彼女はわがままで自分勝手で、嫌な女性なのではないかという決めつけをしていたのだと思う。

 だって……彼女が愛し合ってたはずのジョサイアとの結婚式直前に何故駆け落ちをしようとしたのかという理由を、一度でも深く考えようとしたことはあっただろうか?