「何倍もの軍勢を前に、敵が驚くような策を練ってもおかしくはあるまい。司令官が死んだと聞けば、敵は油断する。味方は焦って加勢に来る。そうして油断したところを、叩くしかない。でなければ、あの連合国軍には勝てはしなかっただろう」
「兄上は……敵を騙すために、敢えて死んだふりを選んだと?」
そうなの……? だから、アーロンは開戦直後に亡くなったと訃報が来て、こうして戦いに勝利したから帰って来たんだ……。
今までに考えもしなかった理由で驚きはしたけど、夫がこうして生きて帰って来た理由を知ることが出来て頭では納得はした。
「……戦争という殺し合いに嘘もなく正々堂々というルールがあるならば、俺だって従うさ。だが、勝つことを優先すれば、嘘だってつく。軍勢の数の差を考えれば、卑怯な手を使わざるをえない。騙すなら身内からと言ったものだが……まさか、留守中に勘当されたはずの弟が帰って来るとは思わなかった」
「ああ。待ってくれ兄上……悪かった。どうか、追い出さないでくれ。お願いだから」
「兄上は……敵を騙すために、敢えて死んだふりを選んだと?」
そうなの……? だから、アーロンは開戦直後に亡くなったと訃報が来て、こうして戦いに勝利したから帰って来たんだ……。
今までに考えもしなかった理由で驚きはしたけど、夫がこうして生きて帰って来た理由を知ることが出来て頭では納得はした。
「……戦争という殺し合いに嘘もなく正々堂々というルールがあるならば、俺だって従うさ。だが、勝つことを優先すれば、嘘だってつく。軍勢の数の差を考えれば、卑怯な手を使わざるをえない。騙すなら身内からと言ったものだが……まさか、留守中に勘当されたはずの弟が帰って来るとは思わなかった」
「ああ。待ってくれ兄上……悪かった。どうか、追い出さないでくれ。お願いだから」



