義母グレースが、癇癪を起こさずに帰ってくれた……先程からしくしくと痛んでいる胃の辺りを片手で押さえながら、私は義母に続いて立ち上がった。
……良かった。本当に良かったわ。
久しぶりにこうして会った義母は、私がエタンセル伯爵家に居た時よりも、だいぶ落ち着いているように見えた。
一年も経てば、人は変わってしまうのかもしれない。
良きにつけ悪しきにつけ。
庭を歩く義母が唐突に立ち止まり、道に落ちていた鋏を持ち上げた。きっと庭師が落として忘れてしまった物だろう。
「お義母様、それは私が……」
「ブランシュ! 私が怪我をしてしまうところだったわ! これを落とした庭師を、ここに呼びなさい!」
いきなり大声で怒鳴り付けられ、私は心臓がぎゅうっと絞られるような感覚を思い出した。
……ああ。この人が、変わるはずなんてなかった。私は一体何を、勘違いしていたのだろう。
義母は私が使用人と上手くやっていることを知って、その関係を故意に壊してやろうと……そう思うような人なのに。
私の後に付いていたクウェンティンは、急ぎ走って年老いた庭師サムを連れて来た。
……良かった。本当に良かったわ。
久しぶりにこうして会った義母は、私がエタンセル伯爵家に居た時よりも、だいぶ落ち着いているように見えた。
一年も経てば、人は変わってしまうのかもしれない。
良きにつけ悪しきにつけ。
庭を歩く義母が唐突に立ち止まり、道に落ちていた鋏を持ち上げた。きっと庭師が落として忘れてしまった物だろう。
「お義母様、それは私が……」
「ブランシュ! 私が怪我をしてしまうところだったわ! これを落とした庭師を、ここに呼びなさい!」
いきなり大声で怒鳴り付けられ、私は心臓がぎゅうっと絞られるような感覚を思い出した。
……ああ。この人が、変わるはずなんてなかった。私は一体何を、勘違いしていたのだろう。
義母は私が使用人と上手くやっていることを知って、その関係を故意に壊してやろうと……そう思うような人なのに。
私の後に付いていたクウェンティンは、急ぎ走って年老いた庭師サムを連れて来た。



