私はいつまで……こうして、仕方ない仕方ないと嘆く日々を、過ごすつもりなのだろう。

 亡き夫と愛人だというサマンサの子をこの腕に抱いた時にも、私はキーブルグ侯爵邸へ居るべきではないと思った。

 ……いいえ。もう、決めたわ。

 アーロンの喪が明ける一年後が来れば、どうにか新しい出会いを探して、こんな光が見えない生活から抜け出さなくては。

 ヒルデガードはきっと、無条件で彼に家督を譲ると聞けば、私のことなんてすぐに忘れてしまうはず……サマンサの子をどうするかは、当主の彼に判断して貰いましょう。

 そうしましょう。

 私を愛してくれる人と再婚して、自分を狙う義理の弟と亡き夫の愛人と同居しているという……良くわからない生活から、抜け出すのよ!

 私は邸へと帰る馬車で三日月をぼんやりと見ながら、そんなことを心の中で誓っていた。