「これは、傑作だ! 兄さんは会わぬままになった妻の他にも、女が居たのか……面白い。嘘ではないのか、確かめるために、会ってみようではないか」
私とヒルデガード、そして、いつも無表情な彼が信じられないほどに凶悪な表情となったクウェンティンが続き、玄関ホールへと急いだ。
「……こちらが、その女性でございます」
そこに所在なく立っていた、見るからにおっとりとした庶民の服を着た女性は、大きなお腹を抱えながら床に座り頭を伏せた。
「申し訳ございません! アーロン様の奥様……私は、サマンサと申します! アーロン様が亡くなったと、お聞きしております……ですが、この大きなお腹では何処にも雇っていただけず……恥を承知で、こちらへと参りました」
私はその場に居た使用人から、彼女が持って来たと思しき手紙を渡された。
「これは……」
「うちの家紋入りの便箋だね。兄上は、本当に愛人を持っていたのか」
手紙を横から覗き込み、ヒルデガードは、面白そうに笑って言った。
彼の言う通りにサマンサが持ってきた手紙はキーブルグ侯爵家の家紋入りで、私も良く使う便箋だった。
私とヒルデガード、そして、いつも無表情な彼が信じられないほどに凶悪な表情となったクウェンティンが続き、玄関ホールへと急いだ。
「……こちらが、その女性でございます」
そこに所在なく立っていた、見るからにおっとりとした庶民の服を着た女性は、大きなお腹を抱えながら床に座り頭を伏せた。
「申し訳ございません! アーロン様の奥様……私は、サマンサと申します! アーロン様が亡くなったと、お聞きしております……ですが、この大きなお腹では何処にも雇っていただけず……恥を承知で、こちらへと参りました」
私はその場に居た使用人から、彼女が持って来たと思しき手紙を渡された。
「これは……」
「うちの家紋入りの便箋だね。兄上は、本当に愛人を持っていたのか」
手紙を横から覗き込み、ヒルデガードは、面白そうに笑って言った。
彼の言う通りにサマンサが持ってきた手紙はキーブルグ侯爵家の家紋入りで、私も良く使う便箋だった。



