父にとっては、縁談をくれたキーブルグ侯爵家に娘を体よく売りつけられるし、厄介払いみたいなものよね。
「あの、お父様……キーブルグ侯爵は、どのような男性なのですか?」
これを今、父に聞いたところで、私はキーブルグ侯爵との縁談に頷くしか出来ないのに……どうしても気になってしまい聞く事にした。
「キーブルグ侯爵は、切れ者で若くして将軍まで上り詰めたお方だ。性格は軍人らしく荒いと聞いているが、容姿は良いらしい。きっと、お前を幸せにしてくれるだろう……」
我がエタンセル伯爵家の繁栄のために、義母の腹いせの犠牲になった私は、これまでに幸せだったとは言い難いものね。
それを実の父親から暗に示唆されて、情けなくなった私は、もう苦笑いするしかなかった。
……その時、私の名前を遠くから呼ぶ声が聞こえた。続いて、ガチャンと陶器が割れる音……また、始まったんだと思った。
いつものことなのだけど、背筋が冷えて、胃が誰かにぎゅっと握られたかのように痛い。
「私……行ってきます」
「あの、お父様……キーブルグ侯爵は、どのような男性なのですか?」
これを今、父に聞いたところで、私はキーブルグ侯爵との縁談に頷くしか出来ないのに……どうしても気になってしまい聞く事にした。
「キーブルグ侯爵は、切れ者で若くして将軍まで上り詰めたお方だ。性格は軍人らしく荒いと聞いているが、容姿は良いらしい。きっと、お前を幸せにしてくれるだろう……」
我がエタンセル伯爵家の繁栄のために、義母の腹いせの犠牲になった私は、これまでに幸せだったとは言い難いものね。
それを実の父親から暗に示唆されて、情けなくなった私は、もう苦笑いするしかなかった。
……その時、私の名前を遠くから呼ぶ声が聞こえた。続いて、ガチャンと陶器が割れる音……また、始まったんだと思った。
いつものことなのだけど、背筋が冷えて、胃が誰かにぎゅっと握られたかのように痛い。
「私……行ってきます」



