「それは……あまり考えられない。あいつは、美しい人妻と見れば口説いて寝取るような最悪の倫理観を持ち、その後の事には一切責任を取らない。薄汚い欲望に負け盗みだってやるし詐欺まがいの事だって平気でする。罪悪感なんて、感じることもない。君のような人には信じられないかもしれないが、そういう人間だって存在するんだ」
「まあ……」
人妻を寝取るなんて、すぐに死罪になりそうなほどに重罪だった。それも、アーロンの口振りでは一回や二回の話でもないらしい。
それを先のキーブルグ侯爵は何らかの方法で揉み消して、縁を切って勘当したということ?
「ええ。そうですよ。奥様。今でこそお伝えしますが、僕が居なければ、奥様の貞操の危機は、あの男が現れてすぐに訪れておりました」
クウェンティンはなんでもないような平坦な口調で言ったので、私はその事を理解するまで時間が掛かってしまった。
……それって、ヒルデガードが私の寝室に忍び込もうとしていたのを、クウェンティンが必死で食い止めていたということ?
「……そうなの?」
なんてこと。信じられない。
「まあ……」
人妻を寝取るなんて、すぐに死罪になりそうなほどに重罪だった。それも、アーロンの口振りでは一回や二回の話でもないらしい。
それを先のキーブルグ侯爵は何らかの方法で揉み消して、縁を切って勘当したということ?
「ええ。そうですよ。奥様。今でこそお伝えしますが、僕が居なければ、奥様の貞操の危機は、あの男が現れてすぐに訪れておりました」
クウェンティンはなんでもないような平坦な口調で言ったので、私はその事を理解するまで時間が掛かってしまった。
……それって、ヒルデガードが私の寝室に忍び込もうとしていたのを、クウェンティンが必死で食い止めていたということ?
「……そうなの?」
なんてこと。信じられない。



