「それは、俺の指示を待つ必要があるか? 前に指示したままだ。さっさと殺せば良いだろう」

「御意」

 私が考え込んでいる内にすんなりと弟を殺すことに決定しているので、慌てて彼らを止めた。

「待ってください! ヒルデガードについては、私も色々と思う所があるので……どうか捕まえるだけにしてください」

「ブランシュ。君だってよくよくわかっただろう。あいつは本当にどうしようもない奴で、更生は望めないんだ」

「けれど……アーロンの血の繋がった弟です。殺せば後悔するかもしれません」

 アーロンが軍人で殺す殺されないの世界で生きていたことは、私だって理解している。それでも、止めたかった。

 私はアーロンのことが好きだから、出来るだけ未来に彼が後悔するようなことを減らしたいと思うのだ。