「今日は疲れただろう……おやすみ。ブランシュ」

 部屋まで送ってくれたアーロンは、頬に軽くキスをしてから去って行った。

 そう言えば、私たち二人は結婚していると言うのに、唇のキスもまだして居ないし……初夜だって、まだ……。

 先ほど、アーロンが初めての夜を匂わせるようなことを言い、それを聞いた私は、正直に言えば浮かれてしまっていた。

 アーロンは私のことを、真実愛してくれて……彼が望んでくれて、こうして彼の妻になれたのだとそう思えたから。

 誰かから愛されることなんて、私にはないのかもしれないと心のどこかで恐れていた。