そうすげなく言い放つと、ハンナはアーロンの反応を待つことなく、さっさと去って行った。

「……アーロン。ごめんなさい」

 彼からの握手を拒否し、カーテシーのみで去っていった義妹は、アーロンが死ぬ気で国を守ってくれなければ、自分がどうなっていたのか、知っているのだろうか。

「それは、ブランシュが、謝ることではない。気にするな。この程度で気分を害する人間だと、良くない誤解をされても困る。しかし、あの性格では……いろいろと、難しそうだ」

 大人の対応で苦笑したアーロンに、義理の妹の失礼な態度を擁護することも出来ず、私は曖昧に笑うしかなかった。