アーロンはクウェンティンの方向を見て頷いたので、今まで壁際に立っていた執事は私へ言った。
「……キーブルグ侯爵家の家紋入りの便箋は、貴族専門の業者に特別に頼んでいます。だから、そこから外部に流出することは、まず考えられないでしょう。顧客の信用問題に関わります」
「偽装か?」
「あまり、考えられないことですが、我が家の使用人が流したか……」
「どうせ、ヒルデガードだな。兄の俺が言うのもなんだが、あいつは本当に碌でもない弟だからな」
「あ……」
……私は口を両手で押さえた。
そう言えば、ヒルデガードが来たのは、サマンサよりも大分早く、キーブルグ侯爵邸に住んでいた彼がその気になれば、サマンサに家紋入りの便箋を渡すことだって容易なはずだ。
二人で何もかも、共謀していたのだ。
「よし、殺そう。罪状は、十分なはずだ。貴族の家での窃盗、貴族の子の母を騙る詐欺師への幇助。そして、兄の妻にまで手を出そうとした。万死に値する」
「御意」
アーロンとクウェンティンの間で、再度繰り返されたヒルデガード死刑宣告に、私は慌てて止めに入った。
「……キーブルグ侯爵家の家紋入りの便箋は、貴族専門の業者に特別に頼んでいます。だから、そこから外部に流出することは、まず考えられないでしょう。顧客の信用問題に関わります」
「偽装か?」
「あまり、考えられないことですが、我が家の使用人が流したか……」
「どうせ、ヒルデガードだな。兄の俺が言うのもなんだが、あいつは本当に碌でもない弟だからな」
「あ……」
……私は口を両手で押さえた。
そう言えば、ヒルデガードが来たのは、サマンサよりも大分早く、キーブルグ侯爵邸に住んでいた彼がその気になれば、サマンサに家紋入りの便箋を渡すことだって容易なはずだ。
二人で何もかも、共謀していたのだ。
「よし、殺そう。罪状は、十分なはずだ。貴族の家での窃盗、貴族の子の母を騙る詐欺師への幇助。そして、兄の妻にまで手を出そうとした。万死に値する」
「御意」
アーロンとクウェンティンの間で、再度繰り返されたヒルデガード死刑宣告に、私は慌てて止めに入った。



