死んだと思っていた人が、生きていたのよ。魔法でもなんでもなく。訳ありで。
「ブランシュ……その、少し良いか。君が落ち着くまで、絶対に近づかない」
アーロンは緊張して余裕のない私を宥めるようにして、敵意がないと示すように開いた両手を向けた。
「はい。大丈夫です」
私がこくりと一度頷いたのを確認してから、アーロンは慎重な様子で口を開いた。
「何度も言うが、生きていることを知らせずにいて悪かった。しかし、悔いはない。これで我が国は勝利し、多くの国民の命が救われた」
「わかっています。必要なことだったのだと」
敵を欺くには、まず身内から。素人の私が彼が生きていると知っていて、上手く嘘をつけたとは思えない。
だから、これで良かったのだ。生きていると知らなかったから、再婚相手まで探しているところだったけれど。
「……しかし、俺が何より救いたかったのは、お前……俺の妻、ブランシュだ。もし、敗戦すれば君は将軍の妻として、どんな目に遭うかわからなかった。だから、どんな汚い手でも使ってでも勝つしかなかった」
真摯な光を放つ青い目に、嘘は見えない。
「アーロン」
妻の私を守るために、彼はどんな手でも使って、勝利して帰って来てくれた。
「お前ごと……この国を、死に物狂いで守って来た。辛い思いをさせたことを、許してくれとは言わない。ここから、挽回する。だから、俺を怖がらないでくれ……頼む」
切実な声音の言葉には、疑うところなんて見えない……それでも一気に多くの情報を消化しきれずに、何も言えなかった私は何度か頷くしか出来なかった。
「ブランシュ……その、少し良いか。君が落ち着くまで、絶対に近づかない」
アーロンは緊張して余裕のない私を宥めるようにして、敵意がないと示すように開いた両手を向けた。
「はい。大丈夫です」
私がこくりと一度頷いたのを確認してから、アーロンは慎重な様子で口を開いた。
「何度も言うが、生きていることを知らせずにいて悪かった。しかし、悔いはない。これで我が国は勝利し、多くの国民の命が救われた」
「わかっています。必要なことだったのだと」
敵を欺くには、まず身内から。素人の私が彼が生きていると知っていて、上手く嘘をつけたとは思えない。
だから、これで良かったのだ。生きていると知らなかったから、再婚相手まで探しているところだったけれど。
「……しかし、俺が何より救いたかったのは、お前……俺の妻、ブランシュだ。もし、敗戦すれば君は将軍の妻として、どんな目に遭うかわからなかった。だから、どんな汚い手でも使ってでも勝つしかなかった」
真摯な光を放つ青い目に、嘘は見えない。
「アーロン」
妻の私を守るために、彼はどんな手でも使って、勝利して帰って来てくれた。
「お前ごと……この国を、死に物狂いで守って来た。辛い思いをさせたことを、許してくれとは言わない。ここから、挽回する。だから、俺を怖がらないでくれ……頼む」
切実な声音の言葉には、疑うところなんて見えない……それでも一気に多くの情報を消化しきれずに、何も言えなかった私は何度か頷くしか出来なかった。



