私は何故か彼の顔を恥ずかしくて、見られなかった。顔が熱い。じりじりと距離を空ける私を見て、アーロンは落ち込んでいる声を出した。

「……どうした。結婚をしたと言うのに、一年間も放っておいてしまった俺のことが嫌になったのか。ブランシュ」

「いいえ! そういう訳ではないのですが」

「では、どういう訳だ。何故、距離を空ける」

 アーロンは不思議そうで、何が原因なのか知りたいようだ。私だって普通にしていたいのに、普通に出来ないから……胸が苦しいのに。

「旦那様と、近くに居ると! 胸が苦しくなって、恥ずかしくて堪らないのです! 旦那様が悪い訳では、ありません!」

 私が両手を彼の前に突き出すと、アーロンは顔を赤くして、驚き目を見開いていた。

「え? あ……ああ。そうか……すまない」

 なんとも言えない空気の中で、私とアーロンの二人は隣に座って、ただ黙って庭園を見ていた。

 ほんの一日前に再婚相手を探さなくてはと奮起していた私には、とても信じられない未来だろう。

 私だって……本当に意味がわからない。