「サム。お前もブランシュと、仲が良いのか……俺が居なかった一年間に、何もかも様変わりしてしまったな」

 アーロンは城から帰って来てそのままなのか、仕事帰りの軍服そのままでこちらへと歩み寄ってきた。

「旦那様が命を賭けて国を守って下さったから、我々はこうして平和に生きております。それでは、儂は仕事の続きがありますので……ごゆっくり」

「ああ……ご苦労。おい! サム……ここに、鋏を落としているぞ」

「これはこれは、失礼。それでは」

 サムは鋏を道に良く落としてしまうのか、頭を掻いて、恥ずかしそうにしながら去っていった。

 アーロンは庭師サムが鋏を落としたからと、よくわからぬ罰を与える人間ではない。それは、当然のことのはずなのに、私はそれを確認してほっとした。

 アーロンは義母と同じような人間ではないと、そう思えたから。

「……ブランシュ。手の調子は、どうだ?」

 私の隣へとアーロンは座り、私は自然と彼の反対側に寄ってしまった。

「旦那様……はい。買っていただいたお薬のおかげで、治って来ました」