○穂花の家
朝、誰もいない穂花の部屋には、羊羹が手付かず。
その上に、穂花の水彩画似顔絵が置いてある。
キッチンで洗い物をする穂花。
ラジオからは、土曜日の朝のニュースが流れる。
内容は「○○町では妖気が高まっており、外出の際は注意して」と言う趣旨。
穂花「ここら辺で妖魔警報って珍しい。今日は一日、家にいた方が良さそう」
そう思いながら、ふとリビングを見る。
穂花「えっ」
驚く穂花。
リビングでは、アイナがスマホを三脚にセットして、動画を撮ろうとしていた。
そしてアイナがテーブルに置いたのは、麒麟からもらった羊羹。
穂花は洗い物の手を止めて、アイナに問いかける。
穂花「そ、そのお菓子!」
驚く穂花に意地悪そうに言い返すアイナ。
アイナ「ああ、このお菓子。調べてみたら、予約じゃないと買えない超高級品じゃない。パパ活でもしたの?」
アイナに睨まれて、言葉に詰まる穂花。
アイナ「そんなわけで、せっかくだから、開封動画を撮るから、黙ってて。これでフォロワーどれだけ増えるか、超楽しみ」
無邪気に包み紙を破くアイナに、流石に穂花が割って入る。
穂花「これ私の……」
アイナ「だから〜、撮影の邪魔しないでよ。ちゃんと、あんたにも分けてあげるから」
そして、騒ぎを聞きつけ、顔を出した母親に、穂花は助けを求める。
アイナ「なに、おばさん。穂花ったら高級なお菓子を、独り占めしようとするのよ。おばさんの躾がなってないの、パパに言っちゃおうかな」
母「穂花ちゃん、せっかくのお菓子ですもの、みんなで分けて食べましょ」
普段はこれで引き去る穂花だが、今回は引き下がらない。
穂花「このお菓子は、大切な人からのお礼で……」
無意識に麒麟を「大切な人」と呼び、ハッとなる穂花。
アイナは穂花が反抗したのが、気に入らなかったので、穂花をさらに虐めようとする。
アイナは、水墨画を穂花に見せつけるように、ひらひらと揺らす。
アイナ「ああ、そうそう。このお菓子に、ゴミがついてたわね」
そう言って水墨画を、ぐしゃっと握りつぶす。
アイナ「ゴミはゴミ箱へ」
アイナは水墨画をゴミ箱に投げ捨てる。
穂花はすぐさま、水墨画をゴミ箱から取り出し、涙目で広げる。
アイナ「なにその絵? いけてないあんたとは、全然似てない」
挑発的に睨んでくるアイナ。彼女は穂花が自分には抵抗できないと踏んでいる。
実際、穂花はアイナに直接反抗できない。悔しそうに、シワシワになった水墨画を胸に抱き、家を飛び出す。
形だけ心配して見せる母。
穂花が出ていったので、楽しそうな様子で、動画撮影を再会するアイナ。
○公園
公園を一人彷徨う穂花。
そして芝生の木陰で、水墨画を広げる。
そして自分自身の行動を振り返る。
穂花「いつも、大切なものはアイナに取られてきた。お菓子を取られたのも、いつものこと。だけど、あのお菓子は……そして、この絵は」
穂花、反射的にキリンのことを思い出す。
穂花「まだ二回しか会っていない……どんな人かも知らない……けど、なんでだろ。あの人のことが、頭から離れない」
一方、公園の入り口では、重装備の自衛隊が公園の入り口を固めている。
装輪式の装甲車や銃器には、お札が貼ってある。それが普通の自衛隊の装備ではなく、対妖魔用の装備と示す。
自衛官たちは、口々にこの公園に、強い妖力が検知されたことを報告し合う。
*謎の装置がピーピーなっている。
自衛隊の指揮官が、緊張しながら部下に命令する。
指揮官「この反応……こちらの装備だけでは、厳しいかもしれん」「すぐに聖獣様の増援を!」
部下「了解しました」
そして妖力を検知する自衛隊の機械が、大きく反応する。
30分ぐらい時間が経過。
怒りに任せて自宅を飛び出した穂花は、公園をぶらつきながら考えなしの行動を少し反省する。
穂花「けど、私は悪くない」
今までとは違い、自分の意思を貫こうとするが、頼れる者がいないという現実が立ちはだかる。
穂花「けど、これからどうしよう」「結局、謝るしかないのかな」
ふと不安になった穂花に、不意に影がかかる。
見上げると穂花の前に、三メートルぐらいの大きさの妖魔が出現している。
尻餅をつく穂花。
穂花(妖魔! そう言えば、ラジオで)
妖魔が躊躇せず穂花に襲いかかる。
目を閉じ、頭を守ろうとする穂花。
死を覚悟した彼女だが、不思議と痛みが襲ってこない。恐る恐る目を開ける。
すると目の前に麒麟が、穂花を守るように立っている。*いつものセンスのない服装
戸惑う穂花に、麒麟は優しく微笑みかける。 妖魔が遅いかかる状況で、危機感のない様子。
穂花「麒麟……の羊羹の人……」
妖魔は躊躇せず、二人に襲い掛かろうとする。
麒麟「自己紹介の邪魔です」
そういうと、麒麟は振り向き様に、妖魔に手を伸ばす。
次の瞬間、麒麟の手の平から光が放たれ、妖魔は消滅する。
麒麟「この程度の妖魔なら、人間形態で十分ですね」 *独り言を呟くように
一瞬で妖魔を浄化した麒麟を見て驚く自衛官。
部下「た、隊長殿。あの人は?」
指揮官「知らん……ただ、四聖獣様より、今から行く者の邪魔をするなとだけ連絡が」
妖魔を倒し、麒麟は穂花に手を差し出すが、穂花は自力で立ち上がる。 *この時は、手を握らない
穂花はパニック。
穂花(この人は一体……猫の飼い主が変な服装で現れたと思ったら、ファミレスに誘ってきて、断ったら、今度は高級車で羊羹片手に学校に乗り付けて、別荘のパーティに誘って、怪しげな成金かと思ったら、いきなり現れて、妖魔から私を守ってくれて……)
今までの麒麟の行動を、コマンドー風に振り返る穂花。
そして、覚悟を決めて麒麟に尋ねる。
穂花「あなたは一体、何者?」
その質問に対し、公園に麒麟の挨拶が重なる。
麒麟「こんにちは」
そして優しい笑顔で、麒麟は自己紹介する。
麒麟「麒麟です」
戸惑う穂花。
穂花「麒麟さん……ですか」
そのやりとりの中、現場まで麒麟を運んだ輸送ヘリのシートで、白澤は呆れたように呟く。
白澤「一言目が『こんにちわ』って……麒麟様……」
朝、誰もいない穂花の部屋には、羊羹が手付かず。
その上に、穂花の水彩画似顔絵が置いてある。
キッチンで洗い物をする穂花。
ラジオからは、土曜日の朝のニュースが流れる。
内容は「○○町では妖気が高まっており、外出の際は注意して」と言う趣旨。
穂花「ここら辺で妖魔警報って珍しい。今日は一日、家にいた方が良さそう」
そう思いながら、ふとリビングを見る。
穂花「えっ」
驚く穂花。
リビングでは、アイナがスマホを三脚にセットして、動画を撮ろうとしていた。
そしてアイナがテーブルに置いたのは、麒麟からもらった羊羹。
穂花は洗い物の手を止めて、アイナに問いかける。
穂花「そ、そのお菓子!」
驚く穂花に意地悪そうに言い返すアイナ。
アイナ「ああ、このお菓子。調べてみたら、予約じゃないと買えない超高級品じゃない。パパ活でもしたの?」
アイナに睨まれて、言葉に詰まる穂花。
アイナ「そんなわけで、せっかくだから、開封動画を撮るから、黙ってて。これでフォロワーどれだけ増えるか、超楽しみ」
無邪気に包み紙を破くアイナに、流石に穂花が割って入る。
穂花「これ私の……」
アイナ「だから〜、撮影の邪魔しないでよ。ちゃんと、あんたにも分けてあげるから」
そして、騒ぎを聞きつけ、顔を出した母親に、穂花は助けを求める。
アイナ「なに、おばさん。穂花ったら高級なお菓子を、独り占めしようとするのよ。おばさんの躾がなってないの、パパに言っちゃおうかな」
母「穂花ちゃん、せっかくのお菓子ですもの、みんなで分けて食べましょ」
普段はこれで引き去る穂花だが、今回は引き下がらない。
穂花「このお菓子は、大切な人からのお礼で……」
無意識に麒麟を「大切な人」と呼び、ハッとなる穂花。
アイナは穂花が反抗したのが、気に入らなかったので、穂花をさらに虐めようとする。
アイナは、水墨画を穂花に見せつけるように、ひらひらと揺らす。
アイナ「ああ、そうそう。このお菓子に、ゴミがついてたわね」
そう言って水墨画を、ぐしゃっと握りつぶす。
アイナ「ゴミはゴミ箱へ」
アイナは水墨画をゴミ箱に投げ捨てる。
穂花はすぐさま、水墨画をゴミ箱から取り出し、涙目で広げる。
アイナ「なにその絵? いけてないあんたとは、全然似てない」
挑発的に睨んでくるアイナ。彼女は穂花が自分には抵抗できないと踏んでいる。
実際、穂花はアイナに直接反抗できない。悔しそうに、シワシワになった水墨画を胸に抱き、家を飛び出す。
形だけ心配して見せる母。
穂花が出ていったので、楽しそうな様子で、動画撮影を再会するアイナ。
○公園
公園を一人彷徨う穂花。
そして芝生の木陰で、水墨画を広げる。
そして自分自身の行動を振り返る。
穂花「いつも、大切なものはアイナに取られてきた。お菓子を取られたのも、いつものこと。だけど、あのお菓子は……そして、この絵は」
穂花、反射的にキリンのことを思い出す。
穂花「まだ二回しか会っていない……どんな人かも知らない……けど、なんでだろ。あの人のことが、頭から離れない」
一方、公園の入り口では、重装備の自衛隊が公園の入り口を固めている。
装輪式の装甲車や銃器には、お札が貼ってある。それが普通の自衛隊の装備ではなく、対妖魔用の装備と示す。
自衛官たちは、口々にこの公園に、強い妖力が検知されたことを報告し合う。
*謎の装置がピーピーなっている。
自衛隊の指揮官が、緊張しながら部下に命令する。
指揮官「この反応……こちらの装備だけでは、厳しいかもしれん」「すぐに聖獣様の増援を!」
部下「了解しました」
そして妖力を検知する自衛隊の機械が、大きく反応する。
30分ぐらい時間が経過。
怒りに任せて自宅を飛び出した穂花は、公園をぶらつきながら考えなしの行動を少し反省する。
穂花「けど、私は悪くない」
今までとは違い、自分の意思を貫こうとするが、頼れる者がいないという現実が立ちはだかる。
穂花「けど、これからどうしよう」「結局、謝るしかないのかな」
ふと不安になった穂花に、不意に影がかかる。
見上げると穂花の前に、三メートルぐらいの大きさの妖魔が出現している。
尻餅をつく穂花。
穂花(妖魔! そう言えば、ラジオで)
妖魔が躊躇せず穂花に襲いかかる。
目を閉じ、頭を守ろうとする穂花。
死を覚悟した彼女だが、不思議と痛みが襲ってこない。恐る恐る目を開ける。
すると目の前に麒麟が、穂花を守るように立っている。*いつものセンスのない服装
戸惑う穂花に、麒麟は優しく微笑みかける。 妖魔が遅いかかる状況で、危機感のない様子。
穂花「麒麟……の羊羹の人……」
妖魔は躊躇せず、二人に襲い掛かろうとする。
麒麟「自己紹介の邪魔です」
そういうと、麒麟は振り向き様に、妖魔に手を伸ばす。
次の瞬間、麒麟の手の平から光が放たれ、妖魔は消滅する。
麒麟「この程度の妖魔なら、人間形態で十分ですね」 *独り言を呟くように
一瞬で妖魔を浄化した麒麟を見て驚く自衛官。
部下「た、隊長殿。あの人は?」
指揮官「知らん……ただ、四聖獣様より、今から行く者の邪魔をするなとだけ連絡が」
妖魔を倒し、麒麟は穂花に手を差し出すが、穂花は自力で立ち上がる。 *この時は、手を握らない
穂花はパニック。
穂花(この人は一体……猫の飼い主が変な服装で現れたと思ったら、ファミレスに誘ってきて、断ったら、今度は高級車で羊羹片手に学校に乗り付けて、別荘のパーティに誘って、怪しげな成金かと思ったら、いきなり現れて、妖魔から私を守ってくれて……)
今までの麒麟の行動を、コマンドー風に振り返る穂花。
そして、覚悟を決めて麒麟に尋ねる。
穂花「あなたは一体、何者?」
その質問に対し、公園に麒麟の挨拶が重なる。
麒麟「こんにちは」
そして優しい笑顔で、麒麟は自己紹介する。
麒麟「麒麟です」
戸惑う穂花。
穂花「麒麟さん……ですか」
そのやりとりの中、現場まで麒麟を運んだ輸送ヘリのシートで、白澤は呆れたように呟く。
白澤「一言目が『こんにちわ』って……麒麟様……」


