「……その言葉……」



 思わず口元を押さえる。




「私、その台詞が一番好きなんです…。ホームズさんが言うと……本当にかっこいいですね。」




 ホームズは微笑んだ――その瞬間だった。






 彼は、ゆっくりと一歩、また一歩と距離を詰めてきた。
 次の瞬間、美月の身体はふわりとソファに押し倒される。




「きゃっ!? ちょ、ちょっとホームズさん!? 急に何して――!」



 美月が慌てて手を押し返そうとするが、びくともしない。
 ホームズは、彼女の耳元に顔を寄せ、低く囁いた。





「お前はもう、真相にたどり着いているのだろう?」





 その声は、理性を溶かすように甘く、近い。
 美月の心臓が壊れそうなほど跳ねた。




「な、なに言ってるんですか……!」



 視線を逸らそうとするが、ホームズの鋭い瞳がそれを許さない。




「俺にはわかる。お前の目は、何かを隠している。」