その日の夜。





 ホームズは、いつもよりも静かな口調で美月を呼び出した。




「美月、少し話がある。俺の部屋へ来い。」




 部屋のドアを開けると、ランプの灯が柔らかく揺れていた。



 ホームズは机の前に立ち、腕を組んでいる。



 その瞳は、どこか探るようで――少しだけ優しかった。





「……最近、どうも様子がおかしいな。」

「えっ?そ、そんなことありませんよ!」

 美月は慌てて否定する。



 ホームズは、ふっと笑みを浮かべると、低く呟いた。





「“全ての不可能を消去して、

最後に残ったものが如何に奇妙な事であっても、

それが真実となる”」








 その言葉を聞いた瞬間、美月の胸が跳ねた。