「――ジャック・ザ・リッパー!」



 美月は後ずさった。


 男の手が、蛇のように美月の首を掴む。



「きゃぁっ!!」

「かはっ!!」



  壁に押し付けられ、息ができない。



「やはり……“お前”か。異質な匂いがしていた。」




 恐怖で声が出ない。
 目の前の瞳が異様に光り、狂気が滲む。




そのとき――。







ピィーーーーー!!



「そこまでだ!!」



 笛の音とともに、近くを巡回していた警官が駆け寄った。
 リッパーは舌打ちし、霧の中へと消える。



ドサッ


 崩れ落ちる美月。
 警官が肩を支えながら、「君!大丈夫か!!」と声をかけた。



 だが、美月の耳には、去り際のジャックザリッパーの声がこびりついていた。