「そういえば、美月。」


「はい?」



「君が事件の結末を知っているような顔をしていたが、なぜだ?」


「え!? ……い、いや、あの、それは!」




 ホームズが目を細める。

「隠しごとをするのは苦手のようだな。」

「う……ぐ……。」

「顔に全部出ている。」



 ホームズは腕を組みながら少し考えるような仕草をした。



「まあいい。ワトソンが言っていた“未来”の可能性、
  私も完全には否定できなくなってきた。」



「えっ……信じてくれるんですか?」



「信じるというより、観察結果として“否定できない”ということだ。」



「それって、つまり信じてるってことじゃないですか!」


「そうかもしれん。」

 その淡々とした一言に、
 なぜか胸の奥がじんわりと熱くなった。