1階の居間では、ハドスン夫人が私をあたたかく迎えてくれた。




「まぁまぁ、その格好じゃ寒いでしょう!さ、こっちへいらっしゃい。」




 そう言って、古い衣装箱からドレスを取り出した。



 レースの襟と、くすんだピンクのリボン。
 鏡の前で着替えを終えると、別人のようだった。





「わぁ……」




 思わず声が漏れた。
 ハドスン夫人が嬉しそうに笑う。




「まあ、まるで貴族のお嬢さんみたいね!」





「騒がしいな。」





階段の上から声がした。

ホームズが階段から降りてきていた。





「どうです?ホームズさん。」

ハドスン夫人がホームズに声をかける。



 ホームズが腕を組んで私を見下ろしていた。




「……悪くはないな。」




 その口調は軽いけれど、どこか照れくさそうで。



 私は思わず頬が熱くなった。