「まぁまぁまぁ! なんて可愛らしいお嬢さんを連れてきたの!」





「……違う。事件とは関係ない。」




「事件じゃなくたっていいわよ、ホームズさん!」





 夫人の笑顔は、まるで春のティータイムのように明るかった。





「初めまして、佐藤 美月です。あの、その……突然すみません!」




「まぁ! どこの国のお嬢さんなの? 素敵な響きだこと!」





夫人が両手で私の手を包む。あたたかい。




その奥から、穏やかな声が響いた。





「ホームズ、君がこんな可愛らしい女性を連れてくるなんて珍しいじゃないか。」








 茶色い髭の、いかにも優しそうなイケメン、

笑顔が素敵な男性――ワトソンだった。





 彼は少し驚いたように私を見つめ、それから穏やかに微笑んだ。