そう言った瞬間――
「……っ!」
ホームズさんの手から、タバコの灰がぽとりとこぼれた。
思わず手を振って「あつっ!」って顔してる。
その姿を見た瞬間、私はもう笑いが止まらなくなってしまって。
「ふふっ、動揺してますね?」
「していない。」
「してます〜。ホームズさん、今ちょっと焦りましたよね?」
「……観察眼が向上したようだな。」
そう言いつつも、彼の耳までほんのり赤くなってるの、私はちゃんと見てる。
しばらく笑い合ったあと、ホームズさんが不意に私の頭を撫でた。
その手のひらが、昔よりずっと柔らかく感じる。



