「言わないなら、もう紅茶入れてあげません!」
「脅迫の手段としては稚拙だな?」
「むーっ!」
ぷいっと顔をそむけてソファの端に座ると、
ホームズさんが少し黙ってから、ゆっくり立ち上がった。
そして――まさかの、私の隣に腰を下ろした。
近い。
いや、近いっ!
「……お前を初めてこの目に収めたときだ。」
低く落ち着いた声。
鼓膜のすぐ横で響いた瞬間、心臓が止まりそうになった。
「え……そ、それって……!」
「未来の滑稽な言葉で表すなら、“一目惚れ”というのだろう。」
えぇぇぇっ!?
ちょ、ちょっと待ってくださいそれ、反則ですよ!?
まっすぐ見つめられたら、呼吸まで止まっちゃうじゃないですか!



