今日の昼食は、美月の手作りポトフ。
実は、アーサーが大の苦手な“にんじん”をどうにか食べさせようと、
ムース状にしてスープに溶かし込んである。
「アーサー、たくさん食べてね。」
「うん!」
スプーンを手にしたアーサーは、ぱくりと一口。
美月が期待のまなざしを向けたその瞬間――
「……ママ、これにんじん入ってるでしょ?」
「ええっ!? なんでわかったの!?」
アーサーはふふんと胸を張り、
小さな指でキッチンのテーブルを指した。
「ママ、あそこに“にんじんの皮むき器”が出しっぱなしになってるんだよ。」
「えっ!?」
「それに、このスープの色。ほんの少しオレンジが濃い。
初歩的なことだよ、ママ。」



