それから数週間後――。






 ベイカー街221B。



 冬の白い花で飾られた部屋に、ハドスン夫人とワトソンが見守る中、
 ホームズと美月は静かに誓いの言葉を交わした。



 ワトソンが涙ぐみながら笑う。



「いやぁ……お前が女にプロポーズする日が来るとはな、ホームズ!」



「人生で最も複雑な事件は“恋”だったようだ。」



「それで?、解決したのか?」



「いや、未解決のまま、永遠に捜査を続ける。」




美月は笑いながら、ホームズの手を握った。




 ホームズは彼女の額にキスを落とし、囁いた。





「愛してる、美月。君は、私の最も美しい“推理の答え”だ。」






 外では雪がやみ、ロンドンの空に光が差していた。

 二人の影が寄り添うように、ひとつになっていた。