そう言うとホームズは、美月をロンドン塔が見える橋の上へ連れていった。
雪が舞い散り、街の灯が水面に滲む。
ホームズは少し間をおき、ポケットから小さな黒い箱を取り出した。
美月が息をのむ。
「君がこの時代に来た理由を、私はずっと考えていた。
数々の事件を解き明かしても、この“出会いの謎”だけは解けなかった。
だが、ひとつだけわかったことがある。」
ホームズは箱を開けた。
そこには、雪のように輝く銀の指輪。
ダイヤではなく、中央には小さなオパールが埋め込まれていた――
あの日、彼女が滝に消える直前に見せた“白いい光”を思わせる色だ。



