ロンドンの冬は、息を白く曇らせる。




 暖炉の前で紅茶を飲みながら、美月は編みかけのマフラーを膝に置いていた。



 窓の外では雪がちらちらと舞い、街は静かな銀の世界に包まれている。




 ホームズは、書斎の机に向かいながらも、視線をしきりに美月へ向けていた。




 美月は気づいていないふりをして、本のページをめくる。