「まあまあ……お帰りなさい、美月!」


「おかえり、美月!」


ワトソンとハドスン夫人は暖かく迎え入れた。



 美月は微笑みながらうなずく。

 しかし、ホームズはまだ何も言わない。

 ただ、彼女を強く抱きしめたまま、動かない。





「……やっぱり、私がいないと寂しいんですね?」




 美月が、からかうように囁いた。

 返事はなかった。




不思議に思って顔を覗き込むと、ホームズの瞳から一筋の涙がこぼれた。




「あ……ホームズさん、泣いてっ……!」




 そう言いかけた美月を、彼はもう一度、強く抱き締めた。

 耳元で、低く、しかし震える声が囁かれた。





「"――美月。愛してる。"」





 その瞬間、美月の瞳からも涙があふれた。