美月は涙を流しながら叫んだ。

「ホームズさん!!聞いて!!」

 ホームズは驚き、顔を上げた。





「ーっ君を確実に…っ!破滅させることができればっ…!

公共の利益のために…っ!僕は喜んで…っ、死を受け入れようっ!ー」





「……っ!!」
ホームズは目を見開く。





「その言葉……あなたが、あの滝で言うセリフよ!
 私は、ずっと――その台詞を聞きたくなかったっ!!」





 モリアーティが眉をひそめる。



「何を言っている?」


美月は震える声で続けた。



「でも…っ、今ならわかる!
 あなたが、なぜその言葉を言ったのか!」




 ホームズは彼女を見つめた。
 その目には、涙が光っていた。



 汽車の速度がさらに上がる。
 滝の轟音が、もうすぐそこまで迫っていた。