美月の目が見開かれる。
 その問いが、心の奥に突き刺さる。


 モリアーティは確信していた。
 その“もう一人死ぬ人物”が、誰なのかを。


「……なるほどな。私と共に死ぬのは、シャーロック・ホームズか。」



「――っ!!」


 ホームズの顔色が変わる。



「何を言っている、モリアーティ!」



しかし、美月の顔を見た瞬間、彼は全てを悟った。
 涙で濡れたその頬が、何よりの答えだった。



「美月……まさか……」


 美月は唇を震わせながらも、強く言った。


「そうよ……でも、そんな未来、絶対に私が変えてみせる!」


 必死の叫び。
 その声が汽車の金属音にかき消される。