車内は薄暗く、長い廊下が続いている。
 ホームズが進むたび、敵が次々に現れた。



 拳がぶつかり、ナイフが閃く。


 しかしホームズは一歩も引かず、冷静に急所を突いていく。



「俺の前に立つな。時間が惜しい。」




 彼の瞳は、ただひとりの女性――美月だけを見つめていた。




後ろの車両から1両目、2両目、3両目――。
 敵を倒しながら、ようやく5両目の扉の前にたどり着いた。



 そこに立っていたのは、黒いスーツに身を包んだ男。
 ――モリアーティ教授。



 その足元には、椅子に縛られ、意識を失った美月の姿。



 ホームズの喉から低い声が漏れた。



「……モリアーティ」