2025-12-16
『ローファー』
つい先日、マフラーに攻撃された。
同じローファーを履いている僕とあなた。
カツカツと同じ音を鳴らしながら歩く中。
建物を出るとあまりにも風が強くて
ついさっきセットした髪もボサボサ。
あなたは乱れた髪を直しながら
歩みを止めることなく進み続け
僕もそれに続くかのように歩く。
カツカツと鳴り響く足音が
揃ってきたと思える頃の話。
小さな川が見える橋の上で
僕はマフラーに攻撃された。
あなたが着けていたマフラーだった。
障害物が少なくより風の強い場所で
自我を持ったかのように暴れまわる。
僕は何度もマフラーにぶたれた挙句
「痛っ」とだけ言ってあなたを見た。
ワインレッドのマフラーを首に巻く
あなたは誰よりも可愛らしくて癒し。
僕が癒されて微笑んでしまったからか
あなたも僕と同じように微笑んでいた。
建物を出るとき、貸していた手袋を
あなたは肌身離さず身に着けている。
手袋を奪い取ろうかと思った。
僕はマフラーにぶたれたのに。
「攻撃をしてくるなら手袋返してくれる?」
僕は冗談めかしくあなたに圧をかけてみた。
「いやいや、意図してないですから」
あなたは返そうとせず、抵抗をする。
全然、返してもらわなくても構わなかった。
僕なんかよりあなたにお似合いだったから。
「まぁいいや、これからは気を付けるんだぞ」
あくまでマフラーに注意した僕は前を向いた。
乱れた髪もお揃いのローファーも
両手とも奪われてしまった手袋も
あなたとの思い出みたいで嬉しい。
「何よりも幸せだ」と僕は思った。
きっとあなたも思ったに違いない。
小さな段差で躓くあなたを見て
僕はクスクスと笑ってしまうが
手袋を奪われた身としては寒い。
「今、躓いたね」と目を細めて言った。
「でもネイル可愛い」とあなたは言う。
「うん、ネイルは可愛い」と僕は言った。
「ネイルは??」とあなたに詰問される。
太陽の光が僕らを射してくる。
それでできた僕らの影を見る。
まるで、付き合っているかのよう。
僕はそのままあなたに告白をした。
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『ローファー』
つい先日、マフラーに攻撃された。
同じローファーを履いている僕とあなた。
カツカツと同じ音を鳴らしながら歩く中。
建物を出るとあまりにも風が強くて
ついさっきセットした髪もボサボサ。
あなたは乱れた髪を直しながら
歩みを止めることなく進み続け
僕もそれに続くかのように歩く。
カツカツと鳴り響く足音が
揃ってきたと思える頃の話。
小さな川が見える橋の上で
僕はマフラーに攻撃された。
あなたが着けていたマフラーだった。
障害物が少なくより風の強い場所で
自我を持ったかのように暴れまわる。
僕は何度もマフラーにぶたれた挙句
「痛っ」とだけ言ってあなたを見た。
ワインレッドのマフラーを首に巻く
あなたは誰よりも可愛らしくて癒し。
僕が癒されて微笑んでしまったからか
あなたも僕と同じように微笑んでいた。
建物を出るとき、貸していた手袋を
あなたは肌身離さず身に着けている。
手袋を奪い取ろうかと思った。
僕はマフラーにぶたれたのに。
「攻撃をしてくるなら手袋返してくれる?」
僕は冗談めかしくあなたに圧をかけてみた。
「いやいや、意図してないですから」
あなたは返そうとせず、抵抗をする。
全然、返してもらわなくても構わなかった。
僕なんかよりあなたにお似合いだったから。
「まぁいいや、これからは気を付けるんだぞ」
あくまでマフラーに注意した僕は前を向いた。
乱れた髪もお揃いのローファーも
両手とも奪われてしまった手袋も
あなたとの思い出みたいで嬉しい。
「何よりも幸せだ」と僕は思った。
きっとあなたも思ったに違いない。
小さな段差で躓くあなたを見て
僕はクスクスと笑ってしまうが
手袋を奪われた身としては寒い。
「今、躓いたね」と目を細めて言った。
「でもネイル可愛い」とあなたは言う。
「うん、ネイルは可愛い」と僕は言った。
「ネイルは??」とあなたに詰問される。
太陽の光が僕らを射してくる。
それでできた僕らの影を見る。
まるで、付き合っているかのよう。
僕はそのままあなたに告白をした。
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