言の葉の泡

2025-12-17
『僕のこと』

『飲酒したときのあなた』と題し
視聴者から幾つかの意見を集めた。

「酔ったふりをして電話」とか
「酔ったふりして甘える」とか
「後1年後に分かる自分」とか

色々な意見が送られてくるたびに
自分と比べてみたりもしたけれど。

そもそもお酒が強くないから
酔うことすらできそうになく。

或る日のこと。

友達と居酒屋で麦酒を頼んだ。
豪快に飲む姿が凄く格好良く。

僕も豪快に飲もうとジョッキを傾け
黄金色をしたそれを喉に通したけど。

1口飲んだだけで顔がポカポカして
友達に「顔赤い?」と見てもらった。

「あはは」と笑った友達は「梅干しみたい」と
僕の顔の赤さをそれなりに言葉で表現してくれ。

「そんなにか?」と疑ってしまったけれど
スマホで自分の顔を見たら物凄く赤かった。

「酔ったふりをして電話」とか
「酔ったふりして甘える」とか
僕には無縁の世界なのだと思う。

だから自分がする側に回るのではなく
される側に回るしかないのだけれども。

一緒に飲んでいる相手を酔わせられるほどに
僕は飲めないからきっと甘えられたりもない。

「後1年後に分かる自分」と書いた視聴者が
お酒を飲んだときにどうなってしまうのかが
僕の今後の楽しみみたいなところではあるが。

居酒屋を友達と出た後
宅飲みをしようとなり
コンビニでお酒を買う。

お酒を選ぶときばかりはワクワクするけれど
いざそれを飲もうとなるとワクワクは消える。

「それ重いから持つよ」と言い
お酒の入った袋を持とうとした。

けれど友達は「一緒に持とう」と言い
持ち手を片方ずつ持って夜道を歩いた。

友達の家に着き、買ってきたお酒を机に置く。
コップを持ってきて、お酒を注ぐのだけれど。

そこから漂ってくるアルコール臭で
僕は十分に酔えてしまいそうになる。

「乾杯」と言って友達はお酒を飲んだ。
僕も「乾杯」と言ってお酒を口に含む。

また顔が熱くなるような感覚があって
ポカポカとした気分になってきたから。

思わず、椅子から転げ落ちて床に倒れた。
そのときの様子を友達は撮っていたから。

後日、見せてもらったけれど
あまりにも格好悪くて恥ずい。

ただ、そのときに観ていた映画
キスシーンがあったことだけは
今でも忘れられずに覚えている。

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