2025-12-27
『懐かしんだだけ』
人との出会いは、少し寂しい。
これまで知る由もなかった感情が
沸々と自分の心の中に湧き出して
喜んだり苦しんだり、色々と大変。
出会うべきではなかったと思うし
出会えて良かったとも思えるから
どうせならポジティブに考えたい。
一通の連絡が全ての始まりだった。
中学生の頃、同じクラスだったけれど
あまり話した覚えのない女の子からの
「私のこと覚えてる?」というもので
「微かに覚えてますよ」と返してみた。
インスタグラムとは過去と現在をも
繋げてしまうほどに優秀なアプリで
僕は女の子のことを思い出していた。
中学3年生のとき、同じクラスになり
席替えで3回ほど隣になった人だった。
忘れ物の多い僕はいつも消しゴムや鉛筆を借りて
そのまま返すことさえも忘れてしまうほどだった。
「あのときは色々と世話になったね」と
大人になったその人に向けて文字を送る。
「何かしたっけ」と、送られてきた。
現在を必死に生きているのが伝わる。
「何かしたんだよ」と冗談めいて言った。
「何かしたんだ」とオウム返しをされる。
夜、寝ようと思って読書をやめ
スマホを見たが故の幸福みたく
眠ることはなくその女の子との
他愛もない会話に花を咲かせた。
幾つも積み重なっていく通知が
その人からの愛みたいで勝手に
淡い期待を抱いてしまう、僕は。
数分間は文字で話していたが
「文字は面倒くさい」となり
通話で話をすることになった。
「かける」と送られてきて
着信音が部屋に響いていく。
すぐに出るのは幼稚すぎると思い
2コールが鳴ってから着信に出た。
「もしもし」と僕が話しかけると
「もしもし」と女の子の声がした。
やはり、声とは途轍もなく恐ろしい。
忘れていた記憶がぶわっと
脳内を駆け巡るような感覚。
授業中、クスクスしながらした小話も
ノートの端で絵しりとりをしたことも
あの頃に置いてきた記憶が全て蘇った。
さっき文字で話していた内容を
電話でも同じように話していた。
その流れで「どうして連絡してきたの」と
僕は女の子に何気ない感じで訊いてみたが。
「うーん」とはぐらかされてしまった。
言いたくない何かがあるのだと思い
深くは訊こうとせずに話題を変えた。
久しく話していなかったのに
隣同士で座っていたあの頃に
戻ったかのように話していた。
面を合わせてなくてよかった。
僕のニヤつきがバレてしまう。
そのまま何事もなかったかのように
通話は「またね」と言って終わった。
寂しくなった、ちょっとだけ。
連絡をして来なければきっと
抱くことのなかった感情だが
夜、寂しさを胸に溜め込んだ。
目を瞑って寝ようとしたけれど
寂しさのせいで数分間はずっと
夢の世界へと行くことができず。
一生のような、一瞬の恋に
僕はやられてしまっていた。
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『懐かしんだだけ』
人との出会いは、少し寂しい。
これまで知る由もなかった感情が
沸々と自分の心の中に湧き出して
喜んだり苦しんだり、色々と大変。
出会うべきではなかったと思うし
出会えて良かったとも思えるから
どうせならポジティブに考えたい。
一通の連絡が全ての始まりだった。
中学生の頃、同じクラスだったけれど
あまり話した覚えのない女の子からの
「私のこと覚えてる?」というもので
「微かに覚えてますよ」と返してみた。
インスタグラムとは過去と現在をも
繋げてしまうほどに優秀なアプリで
僕は女の子のことを思い出していた。
中学3年生のとき、同じクラスになり
席替えで3回ほど隣になった人だった。
忘れ物の多い僕はいつも消しゴムや鉛筆を借りて
そのまま返すことさえも忘れてしまうほどだった。
「あのときは色々と世話になったね」と
大人になったその人に向けて文字を送る。
「何かしたっけ」と、送られてきた。
現在を必死に生きているのが伝わる。
「何かしたんだよ」と冗談めいて言った。
「何かしたんだ」とオウム返しをされる。
夜、寝ようと思って読書をやめ
スマホを見たが故の幸福みたく
眠ることはなくその女の子との
他愛もない会話に花を咲かせた。
幾つも積み重なっていく通知が
その人からの愛みたいで勝手に
淡い期待を抱いてしまう、僕は。
数分間は文字で話していたが
「文字は面倒くさい」となり
通話で話をすることになった。
「かける」と送られてきて
着信音が部屋に響いていく。
すぐに出るのは幼稚すぎると思い
2コールが鳴ってから着信に出た。
「もしもし」と僕が話しかけると
「もしもし」と女の子の声がした。
やはり、声とは途轍もなく恐ろしい。
忘れていた記憶がぶわっと
脳内を駆け巡るような感覚。
授業中、クスクスしながらした小話も
ノートの端で絵しりとりをしたことも
あの頃に置いてきた記憶が全て蘇った。
さっき文字で話していた内容を
電話でも同じように話していた。
その流れで「どうして連絡してきたの」と
僕は女の子に何気ない感じで訊いてみたが。
「うーん」とはぐらかされてしまった。
言いたくない何かがあるのだと思い
深くは訊こうとせずに話題を変えた。
久しく話していなかったのに
隣同士で座っていたあの頃に
戻ったかのように話していた。
面を合わせてなくてよかった。
僕のニヤつきがバレてしまう。
そのまま何事もなかったかのように
通話は「またね」と言って終わった。
寂しくなった、ちょっとだけ。
連絡をして来なければきっと
抱くことのなかった感情だが
夜、寂しさを胸に溜め込んだ。
目を瞑って寝ようとしたけれど
寂しさのせいで数分間はずっと
夢の世界へと行くことができず。
一生のような、一瞬の恋に
僕はやられてしまっていた。
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