2025-11-07
『Happiness』
たまたま流れてきた動画から
懐かしい音楽が聴こえてきて。
泣いてしまった。
愛する人がまだ生きていた頃
一緒にお出かけをしたときに
車でその曲を聴いていたから。
もう数十年も前のことなのだけれど
まるで数日前のことの様に思い出す。
愛する人が運転をしてくれていて
私は助手席で必死にその曲を歌う。
その頃から私は音痴だっただろうに
愛する人は何1つも文句を言わずに
私の歌声に合いの手を入れてくれた。
それが嬉しくて、私はまた頑張ってしまう。
色々な曲がメドレーで流れてくるけれども。
嵐の『Happiness』が流れてきたときだけは
「俺が歌う」と言って愛する人が歌っていた。
あまりカラオケに行くことはなかったから
愛する人の歌う声を聴く機会はこれくらい。
頻繁ではないからこそ珍しさもあって
愛する人が歌うたび幾度となく惚れた。
もう会えないけど、寂しくはないよ。
曲を通じて何度も出会えるのだから。
愛する人の歌う声がどんなものだったかを
時間が経るごとに忘れてしまいそうになる。
けれど、たった数分間の歌声だったとしても
あの思い出が蘇るのなら、永遠に近しいもの。
スマホに一粒の涙が落ちる。
それから何粒も落ちていく。
スマホから流れてくる曲をBGMとして
動画内では見知らぬ人の結婚式が映る。
愛する人は私にプロポーズをするため
買った指輪をポケットに入れて走った。
早く私に会いたいと思っていたからだろう。
赤信号が青になると同時に走ろうとすると。
横から信号無視のバイクが突っ込んできた。
運転手は軽傷で済んだものの愛する人は死。
私の左薬指には、そのとき愛する人が
私に手渡すことのできなかった指輪が
はめられている。愛する人の分も含め。
スマホを机に置いて、左手を上に上げる。
そして薬指にある2つの指輪を見つめる。
スマホからは依然として音楽が聴こえてくるけれど
その音楽に合わせる様に愛する人の歌声も聴こえた。
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『Happiness』
たまたま流れてきた動画から
懐かしい音楽が聴こえてきて。
泣いてしまった。
愛する人がまだ生きていた頃
一緒にお出かけをしたときに
車でその曲を聴いていたから。
もう数十年も前のことなのだけれど
まるで数日前のことの様に思い出す。
愛する人が運転をしてくれていて
私は助手席で必死にその曲を歌う。
その頃から私は音痴だっただろうに
愛する人は何1つも文句を言わずに
私の歌声に合いの手を入れてくれた。
それが嬉しくて、私はまた頑張ってしまう。
色々な曲がメドレーで流れてくるけれども。
嵐の『Happiness』が流れてきたときだけは
「俺が歌う」と言って愛する人が歌っていた。
あまりカラオケに行くことはなかったから
愛する人の歌う声を聴く機会はこれくらい。
頻繁ではないからこそ珍しさもあって
愛する人が歌うたび幾度となく惚れた。
もう会えないけど、寂しくはないよ。
曲を通じて何度も出会えるのだから。
愛する人の歌う声がどんなものだったかを
時間が経るごとに忘れてしまいそうになる。
けれど、たった数分間の歌声だったとしても
あの思い出が蘇るのなら、永遠に近しいもの。
スマホに一粒の涙が落ちる。
それから何粒も落ちていく。
スマホから流れてくる曲をBGMとして
動画内では見知らぬ人の結婚式が映る。
愛する人は私にプロポーズをするため
買った指輪をポケットに入れて走った。
早く私に会いたいと思っていたからだろう。
赤信号が青になると同時に走ろうとすると。
横から信号無視のバイクが突っ込んできた。
運転手は軽傷で済んだものの愛する人は死。
私の左薬指には、そのとき愛する人が
私に手渡すことのできなかった指輪が
はめられている。愛する人の分も含め。
スマホを机に置いて、左手を上に上げる。
そして薬指にある2つの指輪を見つめる。
スマホからは依然として音楽が聴こえてくるけれど
その音楽に合わせる様に愛する人の歌声も聴こえた。
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