2025-12-28
『愛しています』
「今日、月が綺麗ですよ」
久しぶりに見た月が綺麗で
冷えた右指であなたに送る。
「綺麗だけど」とあなたから送られてきて
「明るすぎて刺激が強いかも」と続けられ。
そんな感性を持ち合わせていない僕は
「その表現、凄く好きです」と返した。
月はどこから見ようと同じで
明るさは変わらないだろうに
刺激が強いと言ったあなたの
見ている世界を覗きたくなる。
年末、街が騒がしくなる時期。
いつもなら自分の歩く音が
カツカツと聞こえてくる道。
今日はカツカツと聞こえてこないほど
辺りは騒がしくて年末感を抱いていた。
数日前、「なんかあんまり年末感ない」と
あなたから送られてきたことを思い出した。
「ね、年末感ない。ただ月が終わるだけって感じ」
僕も同じような気持ちを抱いていたから共感した。
「ほんとそんな感じ」と
あなたも共感してくれた。
会ったことないけど。
こうして文字を交わすだけの関係性。
自分はあなたを深く知らないから
あなたも私を深くは知らないでね
そんな縛りみたいなものをお互い
理解しているような雰囲気だから
居心地の良さは誰よりも良かった。
「ところで、月が綺麗ってさ」と
あなたから送られてきたから僕は
ドキッとしてスマホを見られない。
夏目漱石が訳した「あなたを愛しています」を
あなたから送られてくるような気がして恥ずい。
ピコン、と通知音が鳴った。
「あなたと繋がっています、って言っているみたい」
あなたはただ、自分の思っていることを書いていた。
「ね、確かにそんな感じもする」と返し
「今、見上げてみて」と送って見上げた。
同じ時間に違う場所だけれど
同じ月を見られるのはきっと
幸福と似た何かだと思うから
月を見ながら満たされていた。
「見た、月、欠けてるね」と送られてくる。
「欠けてるね、でも綺麗だね」と返信する。
カツカツと歩く音が聞こえるほど
辺りが静かなところまで来ていた。
真っ暗で、ただ月だけが光っている。
写真に残しておこうと思い、撮った。
「見て」という文字に写真を添付して
1番に見てほしいあなたに送ってみた。
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『愛しています』
「今日、月が綺麗ですよ」
久しぶりに見た月が綺麗で
冷えた右指であなたに送る。
「綺麗だけど」とあなたから送られてきて
「明るすぎて刺激が強いかも」と続けられ。
そんな感性を持ち合わせていない僕は
「その表現、凄く好きです」と返した。
月はどこから見ようと同じで
明るさは変わらないだろうに
刺激が強いと言ったあなたの
見ている世界を覗きたくなる。
年末、街が騒がしくなる時期。
いつもなら自分の歩く音が
カツカツと聞こえてくる道。
今日はカツカツと聞こえてこないほど
辺りは騒がしくて年末感を抱いていた。
数日前、「なんかあんまり年末感ない」と
あなたから送られてきたことを思い出した。
「ね、年末感ない。ただ月が終わるだけって感じ」
僕も同じような気持ちを抱いていたから共感した。
「ほんとそんな感じ」と
あなたも共感してくれた。
会ったことないけど。
こうして文字を交わすだけの関係性。
自分はあなたを深く知らないから
あなたも私を深くは知らないでね
そんな縛りみたいなものをお互い
理解しているような雰囲気だから
居心地の良さは誰よりも良かった。
「ところで、月が綺麗ってさ」と
あなたから送られてきたから僕は
ドキッとしてスマホを見られない。
夏目漱石が訳した「あなたを愛しています」を
あなたから送られてくるような気がして恥ずい。
ピコン、と通知音が鳴った。
「あなたと繋がっています、って言っているみたい」
あなたはただ、自分の思っていることを書いていた。
「ね、確かにそんな感じもする」と返し
「今、見上げてみて」と送って見上げた。
同じ時間に違う場所だけれど
同じ月を見られるのはきっと
幸福と似た何かだと思うから
月を見ながら満たされていた。
「見た、月、欠けてるね」と送られてくる。
「欠けてるね、でも綺麗だね」と返信する。
カツカツと歩く音が聞こえるほど
辺りが静かなところまで来ていた。
真っ暗で、ただ月だけが光っている。
写真に残しておこうと思い、撮った。
「見て」という文字に写真を添付して
1番に見てほしいあなたに送ってみた。
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