言の葉の泡

2025-12-09
『夢Ⅱ』

「夢に出てきました」と
久しぶりに連絡が届いた。

「どんな人でしたか」と訊ねる。

「えっとね、私の街を散歩していて」
「まさをさんはインライしてました」

「私のために来てくれたんですか」
「今から会いたいですダメですか」

「そんな感じのコメントを打ったけど」
「いつまで経っても返信が来ないまま」

「しばらく経って、またインライを始めて」
「すみません、電車乗ってましたと言うの」

「結局、私はまさをさんに会えなかったです」
「意地悪なのか忙しいのか、分からないまま」

結構、長めの夢が送られてきて
「最低だね、その人」と返した。

夢の中の僕に心底、嫌悪感を抱く。
会いたいときに会っておかないと。

「焦らして沼らせてくるんです」
「求めても手が届かないみたい」
「ずっと、平行線なんですかね」

すぐに連絡が届いた。
きっと好かれている。

「上昇するといいね」とだけ返した。
「ずっと好きですよ」と返信が来る。

これ以上、話を長引かせてしまうと
今日の夢にも出てしまいそうだった。

なので送られてきたメッセージに対し
ハートマークのリアクションを残した。

<追伸>

この話を書いた翌日の夢に
連絡をくれた女性が現れた。

会ったことがないわけだし
顔がどんなかは覚えてない。

ただ、可愛らしい印象だった。
僕は会うことができたけれど。

この女性は僕に会うことができず
夢を通して、寂しさを感じていた。

けれどきっと、会わなくて正解だった。
会ってしまえば、好きになってしまう。

知らないことが多いほうが
お互いは惹かれ合うもので
いずれ結ばれるものだから。

目が覚めた僕はただ一言
「あぶね」と言っていた。

恋に落ちそうだった。

それくらい可愛らしくて
僕には勿体ない人だった。

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