2025-11-24
『色気』

つい先日、『色気の意味』と題して
幾つかの意見を募集してみたところ。

「ある程度の秘密」と答えている人がいれば
「あなたにだけ使う媚薬」と答える人もいて。

幾つもの『色気の意味』が送られてくる中で
「あの人を取り戻す為の努力」という意見が
私には他とは違う輝きをしているように見え。

ふと、過去に恋をした人の色気について
思い出したくなかったのに、思い出した。

その人は私には勿体ないほどに魅力的で
それはそれは数多くの女性を骨抜きにし
それでも飽き足らず男性にまで手を出し。

この世に存在している愛を片っ端から
存分に味わったであろう表情をしては
ふと、脆く儚い表情をすることがあり。

それがまた女性の母性に触れ
1つの恋として始まりを迎え。

『色気』とは一体何なのかと
問われればこの男性のことを
私は1番に挙げてしまうけど。

「あなた、色気があっていいね」
私は一度だけ言ったことがある。

何度も見たことのある男性の微笑みに
私はそのときもまた色気を感じていた。

「そう?色気ではないと思うよ」
「初心なほうが愛らしいじゃん」

私と目が合って話しているのに
男性の心は私を向いてはおらず
なんだか寂しくってキスをした。

「何するの、俺はもう駄目だよ」

きっと男性はこれまでにも
このような経験をしてきた。

「駄目じゃない、好きだよ」

私は自分の気持ちを抑えられなくて
男性に乗りかかるようにキスをした。

けれどやはり、私の力では
男性の力に勝てそうもなく。

容易に私の体を振り払って
私を見つめてただ一言だけ。

「可愛いね」

そう言って、その場を後にした。
残された私の心はもうズタボロ。

気付かぬうちに涙が出てしまう恋だった。
思い出してしまうだけでも苦しくなった。

それ以来、男性とは会えていない。

いつか会える日が来るのではと思い
努力している私が見た『色気の意味』

「あの人を取り戻す為の努力」

まるで私に言われているような気がして
思い出したくないのに、思い出していた。

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