2025-11-25
『明け方』

布団から出たくなくなった朝
肌寒さにやられてしまいそう。

今日は仕事も休みだし
ダラダラしていたとて
誰からも怒られはせず。

枕元にあるスマホを手に取り
誰かから連絡が来ていないか
確認をしようと思ったけれど。

通知が来ていれば「1」と付くが
「1」すら付いていないわけだし
誰も連絡をしてきていないと確認。

インスタを開いて
昨日撮った写真を
再度見て微笑んだ。

大きな湖の傍で佇む猫。

まるで壮大な映画の中に
1匹だけ紛れ込んだよう。

あまりにも可愛くて撮った猫を
私は誰に見せるわけもなく投稿。

いいねが来ていた。

あまり仲が良いとは言えない友達。
大学で知り合ったっきりの関係性。

「よっ」と言い合うだけなのだから
友達と呼ぶにはあまりにも刹那的だ。

ストーリーを更新していたから
何を更新しているのか確認する。

クラブで色々な人たちと絡み合い
如何にもパリピです、というもの。

嫌いだ、こういう雰囲気の人らは。
そっとその人のフォローを外した。

流石に寒さに耐えきれず
毛布に包まったままの私。

尻尾みたく毛布を引き摺りながら
暖房をつけるためリモコンを探す。

部屋が綺麗な状態ならば
どこにリモコンがあって
どこに行けば見つかるか
すぐに分かるのだろうが。

私の部屋はあまりにも汚い。
リモコンを見つけるのにも
相当な時間をかけてしまう。

見つけた。

リモコンを拾い上げ
クーラーに向かって
暖房のボタンを押す。

動き出すクーラーを横目で見ながら
リモコンを放り投げてベットに戻る。

やはり私に完璧な生活は無理だ。
自堕落なほうが性に合っている。

彼氏と付き合っていた1週間前。

自分を取り繕うように部屋を片付け
出来る女を演じていたのだけれども。

些細な所作から大雑把な性格を見抜かれ
彼氏は私のことをすぐに捨て去っていき。

昨夜、街中で見かけた彼の横にはもう
新たに清楚系な女性が付き添っていた。

どう見ても彼女だった。
けれど悲しさは抱かず。

きっと取り繕っていた過去が
私にストレスを与えたが故に
失恋の痛みはそこまでだった。

久しぶりに昨夜はぐっすり眠れた。
けれど起きたらどうにも肌寒くて。

こういうときに恋人が欲しくなる。

「寒いよぉ」と甘い声で言えば
「大丈夫?」と言ってくれる人。

嗚呼、虚しい。

スマホに1件だけ通知が届く。
「お得なクーポンです!」と。

どれだけ既読をつけて無視をしようとも
追いライン如く送ってきてくれる公式が
なんだか可笑しくって1人で笑っていた。

その頃にはもう、部屋の中は暖かく
私は包まっていた毛布から抜け出た。

--