都では、薄暗い影が静かに蠢いていた――晴明の宿敵、蘆屋道満の気配だ。
その日、博雅が屋敷を訪れると、咲妃は縁側で式神の朱雀と遊んでいた。
「咲妃殿。少し話がある。」
博雅の真剣な表情に、咲妃は胸がどくんと脈打つ。
「な、何ですか?博雅さん…」
博雅は少し躊躇した後、静かに告げた。
「都で、最近不穏な動きがある。蘆屋道満の影が――」
その名前を聞いた瞬間、咲妃は思わず背筋が凍った。
「えっ…道満って、あの…晴明さんの宿敵…?」
博雅は頷く。
「そうだ。お前の未来でも、異なる意味で有名な男だ。放っておくと厄介なことになる。」
咲妃は思わず手を握りしめ、冷や汗がじんわりと背中を伝った。



