友達になった人気者が、人間じゃなかった話

 雲の切れ間からときおり鮮烈に差し込んでくる日光を避けつつ、タンクを囲む柵にそっと腰を預ける。
 タンクの陰は、確かに意外なほど涼しかった。思いのほか風が通る。

「え、本当に涼しい。なに?」
「だろ~?」

 日陰から見上げた空は、昨日までの曇天が嘘みたいに、どこまでも青い。
 綺麗だ。こうして空を見上げるなんて随分と久しぶりな気がして、眩しすぎる青に思わず目を細める。

 ふと、教室での武田たちとの悶着が脳裏を過った。
 ついにやってしまったな、と空を見上げたまま気を滅入らせる。ちょうどそのタイミングで、隣で僕と同じように柵に腰を預けた清永が、眉尻を下げながら尋ねてきた。

「良かったの? あんなふうに揉めちゃって」

 ぎくりとした。
 考えていることを、まるごと読まれているみたいな質問だったからだ。

「いい。別に」
「けど久世くん、目立つの嫌だって言ってたじゃん」
「嫌だよ。でも、人の悪口でしか盛り上がれない空気のほうがもう無理」

 言いながら、ぼうっとまた空を見上げる。

「最近ふたりとも前より陰湿だし、ひとりのほうが本当に気楽かも」

 溜息交じりに零すと、清永が隣で大袈裟に「ええ~」と声をあげた。